農業の「民営化」論争。効率か、伝統か。私たちが選んだ、美味しさを死守する方法

農業の「民営化」論争。効率か、伝統か。私たちが選んだ、美味しさを死守する方法

皆さま、本日もお疲れ様でした。よしかファームです。

最近、「農業の民営化(企業参入や効率化)」についての議論をよく耳にします。「古いしがらみを捨てて、企業のように効率よく稼ぐべきだ」という声。一方で「効率だけを求めたら、利益が出ない農地や伝統は切り捨てられてしまう」という慎重な声。

一人の農家として、正直どちらが良いのかはわかりません。肥料代や燃料費が高騰し続ける今、農業を取り巻く環境はそれくらいギリギリの状態だからです。

ただ、「日本の農業の正解」はわからなくても、「このトマトの美味しさだけは絶対に守りたい」という想いは明確でした。そのためにどうすればいいか必死に考えた結果、私たちは「誰かに任せる」のではなく、自分たちで直接お届けするという道に行き着きました。

企業の「完全な効率化」では、食べて感動するトマトは作れない

もし私たちが、効率と利益を最優先する完全な企業経営にシフトしたとします。

そうすれば、真っ先にこう言われるでしょう。「11月や3月の冷え込む時期に、ドラム缶何本分もの重油を燃やすのはコストがかかりすぎる。温度を下げなさい」「毎日何万という花に、手作業で受粉させるのは人件費の無駄です。やり方を変えなさい」と。

確かにその通りかもしれません。しかし、その「無駄」と「非効率」を切り捨ててしまえば、糖度8度以上を誇る『tricho』の極上の甘みも、栄養も、すべて失われてしまいます。私たちは「効率よく大量のトマト」を作りたいのではなく、「食べて感動する究極のひと粒」を作り続けたいんです。

育て方は変えられない。だから「産地直送」という売り方を選んだ

かといって、市場に出荷し続けるという選択肢もありませんでした。

市場の価格は数十年前から変わらないのに、コストだけが上がり続ける今、これまで通りの売り方をしていれば、いずれこの『tricho』を育てるためのハウスの暖房すらつけられなくなってしまいます。

「効率化して味を落とす」ことも、「今まで通りに売って畑を維持できなくなる」ことも選べない。この状況で私たちが『tricho』の美味しさを死守するために選んだのが、自社のサイトを通じてお客様へ「直接お届けする」という道でした。

不器用な情熱を守り抜く。すべては「最高のフルーツトマト」を味わってほしいから

市場や中間業者を通さず、自社サイトから直接お届けする。最初は手探りでしたが、結果としてこの選択は私たちにとって大正解でした。

お顔を直接合わせることはできなくても、「美味しかったよ」「毎年楽しみにしています」というお客様の生の反応や声を、ダイレクトに感じられるようになったからです。それは、非効率な作業を続ける私たちにとって何よりの励みであり、この道を選んで本当に良かったと心から思える瞬間です。

政治や社会の波がどう変わるのか、私たちには分かりません。でも一つだけ確かなのは、効率や安さではなく「本当に美味しいトマトを届けたい」。たったそれだけです。私たちのトマトを食べてくださるお客様がいる限り、この不器用な『tricho』を守り抜いていきたいです。

大量生産はできませんが、農家の誇りと愛情が詰まった結晶。この極上のフルーツトマトを、ぜひ一度味わってみてください。

ブログに戻る